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商店が立ち並ぶ郷ノ浦町から伸びた国道382号線を勝本町方面へしばらく車を走らせると、ひっそりと静かな場所に広がる酒造場、天の川酒造がある。
創業は明治45年(1912)。かつてはここから程近い自宅に小さな酒造場があったが、昭和53年(1978)に現在地に移転。現在、4代目が先代の技法を受け継ぎ、天の川特有の味を守り続けている。
壱岐焼酎ならではの米麹1/3、大麦2/3という配合。天の川特有の味は、米麹、大麦の選別からはじまる。米は堅さが麹に適したタイ米を、大麦は豊かな風味のオーストラリア産を使用しているのだ(近年は壱岐でも大麦の生産拡大を試みているため、将来は100%壱岐産の大麦が使われることになるかもしれない)。そして、地下水で仕込んだもろみを常圧蒸留法で蒸留する。壱岐の他のほとんどの酒造場で用いられるこの常圧蒸留法には麦の風味と米の甘味など、コクと旨味を引出す効力がある。仕上がりに均一した味わいが望める一般的に流行りの減圧蒸留ではなく、昔ながらのこの常圧蒸留法にこだわった代表焼酎「天の川」は、2年以上熟成させていることもあってまろやかさも加わり、やわらかな飲み口となっている。
社名と同じ“天の川”という酒銘は、俳句を嗜んだ初代・西川夘八(うはち)が、四国讃岐金比羅様の奉納俳句に投句した「松よけて見上げる空や天の川」の句が最高位“天”に入賞。同時に製造免許も取得できたことを記念し名付けられたものだ。
麦の香り豊かな「天の川」ブランドをひとたび口に含むと、その個性と命名の由来を偲ばせる奥深さを感じることだろう。
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