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長崎県島原半島南部に位置する有家町。ここに、雲仙普賢岳の伏流水が湧き出る自家井戸の水を仕込み水に使い、昔ながらの製法に新しい酵母の研究を加え古い小さな蔵ならではの手法で酒造りに励んでいる造り酒屋、吉田屋がある。島原半島の造り酒屋の中では、比較的新しい蔵。造り酒屋の前は刻煙草製造を、そのまた以前は造り酒屋をというように、ずっと商売替えをしてきて、現在の酒屋になったのは大正6年だそうだ。しかし、新しいとはいえ風格のある素晴らしいお屋敷。今は使っていないという2階倉庫からの瓦屋根と煙突の眺めは、古い造り酒屋ならではの風情を漂わせていた。
現在、杜氏さんは不在。四代目にあたる嘉明さんが全ての作業を取り仕切っておられる。酒造りの工程の中でも米の浸漬には一番神経を使うという。吸水率が低いとお米の芯が残って硬い蒸しになり、多すぎると柔らかい蒸しになり醪で溶けやすくなる。外硬内軟の良い蒸し米になるように細心の注意をはらい、高温の蒸気で約1時間蒸し上げる。ここまでの処理で良い酒が出来るかどうかが決まるのだそうだ。
次の工程の舞台である麹室に案内して頂いた。麹室は大体30度くらいの室温。この中で米の中に麹菌を繁殖させるのだ。この麹室は湿気が多いため近年新しく手を加えられた。壁には昔、酒を仕込んでいた桶が使われている。所々黒っぽいのは桶に塗られていた柿渋の跡。柿渋は防腐剤の役割をするのだそうだ。
吉田屋では、酵母にもこだわりがある。今秘かなブームとなっている花酵母の使用だ。純米吟醸酒、吟醸酒『撥ね木搾り(はねきしぼり)』は、東京農業大学短期大学部醸造学科分離の撫子(なでしこ)酵母を使用し、昔ながらの7〜8m程ある撥ね木搾りの槽(ふね)で搾った酒。華やかな吟醸香とふっくらとした味わいの人気商品だ。
また、毎年11月には、この蔵が音響抜群のコンサートホールに早変わり。いつも作業を行なっているヒンヤリとした酒造場の中央にグランドピアノが出現。食事を楽しみながら、吉田屋の美味しいお酒とピアノとバイオリンの調べ、両方に酔いしれるひととき。今年も開催予定!
ぜひこの肩肘張らない蔵コンサートにも足を運んでみたいものだ。
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