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 ビールの歴史

ビールの誕生は、紀元前8000〜4000年までさかのぼるといわれ、文明とともに古くから人々に親しまれていた。
メソポタミアに興ったシュメール文明は、人類最初の文明だといわれているが、シュメールの人々が粘土板に楔形文字で描いたビールづくりの模様が記録に残っているため、そこではすでにビールが飲まれていたといわれる。
また、紀元前3000年頃のエジプトでもビールは肥沃なナイル河畔で収穫される大麦を原料につくられ、広く人々に愛飲されていた。
その後の時代でもビールは、アッカド・アッシリア・バビロニアなどの古い文明遺跡から、製造・飲用の事実が明らかになり、重要な飲み物として広まっていったといわれる。
中世になると、ヨーロッパでは、上等なビールが修道院でつくられるようになった。当時の知識人であった修道士や僧侶たちは醸造知識にも優れ、香味剤である「グルート」を使ってビールをつくり、この頃のビールは、栄養補給や医療にも利用されていた。
11世紀後半になると「グルート」の中でも「ホップ」を使用した場合に、ビールの品質が飛躍的に向上することがわかってきて、このビールが次第に広まっていき、13世紀には、修道院のグルートビールと都市のホップビールの間で激しい競争を巻き起こした。15世紀以降、都市の発展とともにギルド制が定着するに至って、ビールの醸造は次第に市民の手に移るようになっていき、ビールが市民に広く愛飲されるにしたがって、醸造技術に次々と改良が加えられ、ビールの品質はより向上していった。
近代以降のビールに決定的な影響を及ぼしたのは、ルイ・パストゥールによる低温殺菌法の発明である。これは摂氏60度で約30分間加熱して酵母や雑菌を殺菌する方法である。パストゥーリゼーションと呼ばれるこの方法によって、ビールの保存性は驚異的に伸びた。ビールづくりが近代食品産業になったのはこの発明のおかげである。
また、ビールの普及のうえでリンデの名前も欠かすことはできない。現在、世界の主流である下面発酵ビールは低温でじっくり時間をかけて、発酵熟成させることが必要だが、リンデが発明したアンモニア冷凍機は初めて工業的に四季を通しての醸造を可能にし、品質を向上させることに貢献した。
缶ビールは、缶詰の原理はアペールによって考案され、缶ビールそのもののアイデアは、1935年にアメリカで生まれたといわれている。

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 ビールの製法と種類

自然発酵ビールを除けば、現在ビールの製法には、上面発酵と下面発酵の二種類の方法がある。発酵を常温で行うと、酵母は活発に繁殖して、炭酸ガスとともに液の上面に浮かび上がる。これが上面発酵である。
上面発酵ビールにはイギリスのエール、ドイツのケルシュやアルト、小麦と大麦を併用するヴァイツェンなどがある。
一方、低温で発酵を行うと、ゆっくりと発酵が進み、酵母は下方に沈殿する。これが下面発酵である。下面発酵のビールといえば、チェコのビルゼン地方に生まれたピルスナーが最も有名である。下面発酵ビールが世界のビール市場の主流となっている。下面発酵方式で醸造後、低温貯蔵期間を経て出荷されるビールを一般にラガー・ビールと呼んでいる。
近年の濾過技術の発達によって、加熱することなく、微細濾過で雑菌や酵母を取り除く技術が生まれた。そのような方法でつくられたのが非加熱ビール、いわゆる瓶詰、缶詰の生ビールである。加熱による味や香りの変化の心配がなく生の風味が楽しめるビールだ。

【上面発酵ビール】
■ ペールエール(イギリス)
イギリスのバートン産を代表とするビールで、アルコール度数が高く、少し酸味があって苦味が強い。
■ヴァイツェン(ドイツ)
バイエルン地方の小麦麦芽ビール。炭酸ガスが強く清涼感のあるビール。レモンの薄切りを添えて飲む。最近ドイツで消費量が増加しているビール
■ケルシュ(ドイツ)
ケルン地方で造られる淡い黄金色のビールで、炭酸ガスが弱く泡立ちも少ない。
■ベルリナーワイスビール(ドイツ)
ベルリンで造られる酵母で白く濁ったビール。フルーツのシロップを入れて飲むことが多い。
■ビターエール(イギリス)
ホップの苦味の強いエール。
■アルト(ドイツ)
「オールド」を意味するビール。デュッセルドルフが本場。
■ボック(ドイツ)
ハイローストの麦芽を使った黒色ビール。ギネスが有名。
■ポーター(イギリス)
黒色の麦芽を利用するが、ローストはしていない。ロンドンが本場。

【下面発酵ビール】
■ ピルスナー(チェコ)
チェコのピルゼン地方のビールであり、まろやかな味とホップの香り、きめの細かい泡を特徴とする淡色ビールの代表格。
■アメリカンラガー(アメリカ)
アメリカの一般的ビールであり、軽くて、苦味とコクが少なく、炭酸ガスは強い。コーンや米などの副材料によるすっきりした味。
■ ウィーンビール(ドイツ)
ウィーン地方のビールで黄金ないしは淡褐色。ミュンヘンビールより甘味とコクは少ない。
■ドルトムンダー(ドイツ)
ドルトムント地方のビールであり、ピルスナーより淡色で苦味も弱い。
■メルツェン(ドイツ)
元々は3月に醸造されたビールのこと。10月のビール祭りで飲まれることから、オクトーバーフェストともいう。
■デュンケル(ドイツ)
「ダーク」という意味のビール。ミュンへナーはこの部類に入り、19世紀の後半にミュンヘンで発達した濃色ビールで、麦芽の香りが強く、苦味は少ない。ミュンヘン麦芽と色麦芽を使用する。
■ボック(ドイツ)
北ドイツのアインベックで誕生したビールで、アルコール度数が高い。ドッペルボック(2倍のボック)という極めて濃厚なビールもある。

【自然発酵ビール】
■ ランビック(ベルギー)
木樽の中で2年近く発酵・熟成させるもので、酸味が強い。新旧のランビックをブレンドし、びんの中で更に発酵・熟成させる「グーズ」やランビックにさくらんぼを入れ、発酵・熟成させた「クリーク」もある。

【乳酸菌並行発酵ビール】
■ベルリナーヴァイス(ドイツ)
上面発酵ビールの一種。乳酸菌の発酵を伴うため酸味が強い。ベルリンでつくられている。


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